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1995 年度 実績報告書

児童期におけることばの使いわけが認識と人間関係形成におよぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 07610116
研究種目

一般研究(C)

研究機関東京外国語大学

研究代表者

田島 信元  東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90002295)

研究分担者 上村 佳世子  早稲田大学, 人間科学部, 助手 (70213395)
井上 史雄  東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (40011332)
キーワードことばの使いわけ(コード・スウィチング) / 社会的構成 / 対話性原理 / 腹話性 / ナラティヴ / 状況性 / 慣習的表現 / ていねい体 / 普通体
研究概要

小学校4年生6名のグループを対象としたプリテストの結果を踏まえ,本実験として,担任教師を交えた課題解決場面の観察と,ことば違いの実態に関する質問紙調査を行った。
課題解決場面では,小学校4年生5〜6名からなる男女混合の6つのグループに担任の教師を交え,2つの身近な問題について討論させた(15分間)。それぞれのグループは,どちらかのテーマについて討論し,その際の教師の介入や指示におけることば遣い条件の違いにより,統制群,フォーマル(丁寧体)群,インフォーマル(普通体/友だちことば)群に分けられた。これまでの比較検討から以下のようなことが明らかになった。フォーマル群では,教師が司会する会議のような形式で議論が進み,また,子どもの自発的発言が少なく,ほとんどフォーマルなことば遣いであった。一方,インフォーマル群では,子どもたちからの活発な意見,子どもたちの間でコメントが見られ,ほとんどがインフォーマルなことば遣いでの議論であったが,討論としてのまとまりには欠けていた。観察実験終了直後の子どもたちの感想(ナラティヴ)から得られた成果に対する満足度は,インフォーマル群の方が活発な討論が行われたにもかかわらず,フォーマル群の方が高かった。
ことば遣いの実態に関しては,相手・場面・意図の違いによることばの使いわけについて,子どもたちの認識状況を調査した。その結果,子どもたちは相手のことば遣いに敏感に反応し自身のことばを調整する,また,慣習的表現(社会的言語)を借りて発語(腹話)するなど,状況に依存したことばの使いわけを意識していることが明らかとなった。
このように本研究の現時点での結果では,子どもは社会的相互交渉において,社会的言語を媒介とした相手と自己との対話・腹話(対話性原理)を通して,他の参加者と場面や意味を共有し,認識を形成していくという認識の社会的構成の過程が浮き彫りにされた。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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