登校拒否と抑うつとの関連性を検討するために精神科クリニックを受診した不登校症例を対象に児童の抑うつを測定する尺度であるCDI(Children's Depression Inventory)をクライエントの同意を得て実施し、臨床症状、性格傾向、両親像などとの関連を検討するための資料の収集を行っている。現在の所30名あまりの資料が収集されており、資料の打ち込みが行われている。まだ、統計的な検討を行うには資料の数が少ないが、予備的な検討を行ってみる予定である。 今回の研究では、児童の抑うつを測定する尺度として、CDIを使用しているが、これはアメリカの尺度を翻訳したものであり、必ずしも日本における抑うつを測定する尺度として適切であるとは言えない。そこで日本の抑うつ測定尺度としてより適切なものを作成することが有益ではないかと考えられる。そのためには、まず成人の抑うつ尺度を作成することが必要と考え、現在尺度項目の作成に取り組んでいる。今後、作成された尺度を正常群、抑うつ群を対象に実施し、データの収集を行う予定である。 さらに、一般の児童生徒を対象に、抑うつと登校回避感情、両親像、性格傾向などの関連性を明らかにするために、質問紙調査を実施する予定で、質問紙の作成を行っている。 以上、3項目について研究を進めているが、現在の所データが集まって来ているのは、最初に上げた臨床例に関するものである。
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