本研究は、既婚女性が日常生活の中で行う援助行動を、援助要請と被要請の観点から捉えるために計画された。研究1では主婦の援助要請行動の構造が因子分析によって明らかにされた。各因子は、情報・物・労力の供与、代替的援助、個人的世話、および道具的援助と名づけられた。これらの因子は、要請者の感情次元である快適さ因子と要請時の心苦しさ因子にそって解釈された。情報などの供与を求める行動は、それを得たからといって報酬が要請者にもたらされる程度は低く、そのために快適さも弱い。代替的援助は援助内容によって異なった特徴を持っており、自治会当番の交替などは援助されれば大いに助かると思う一方で、要請する場合の心苦しさは強い。個人的世話は援助されたときの快適さが強く、また道具的援助は要請時に心苦しさを少し感じるようであるが特に大きい特徴はなかった。さらに結果は、提供行動と道具的援助に及ぼす要請者の年令、および要請者と被要請者の関係性の効果が有意であることを示した。 研究2では援助を要請された主婦の応諾行動の構造が因子分析によって明らかにされた。各因子は、代替的・道具的援助、情報・物・労力の供与、個人的世話、および預託的援助と名づけられた。要請者と被要請者の関係性の効果はすべての因子得点に対して有意な効果を及ぼしていた。年令は代替的・道具的援助、提供行動、および個人的世話の応諾に対して有意な効果を及ぼしていた。結果はソーシャル・サポートの構造と関連づけられた。
|