研究概要 |
発達の初期において何らかの要因により順調な精神および神経の発達が阻害されたり、障害が発生する可能性を高く有する乳幼児のことをハイリスク児と呼ぶ。出生体重は今日使用されている重要な指標の一つであるが、これを基準として分類した場合、1,500グラム以下を極低出生体重児、1,000グラム未満を超低出生体重児として区別される。ハイリスク児の発達の法則性を明らかにするためには、彼等の発達の推移を明確にすることが大きな手掛かりになる。それにより発達予測に関係する指標を検出し、比較的早期の段階で援助が必要か否か、援助の内容や時期についての判断ができるような心理診断システムを構築することが可能になると考えられる。本年度は諸種の心理検査の結果を収集することに重点をおいたが、すでに収集された諸種のデータを分析中であるが、1歳時、1歳半時、2歳時、3歳時、4歳時に縦断的に行った超低出生体重児における遠城寺式乳幼児発達検査の結果によれば、3歳までの発達指数の増加が著しく、3歳から4歳にかけて安定していることがわかった。移動運動、手の運動、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解などの下位項目においてもほぼ同様の傾向が示されていることから、3歳の時期には、ある程度の発達状況と発達の可能性を把握することが可能であることが示唆されると同時に、発達に歪みがある子どもについては詳細な発達分析と援助内容に関する検討の必要性が確認された。なお、注意散漫や落ち着きのなさ、動きの少さなどの行動特徴が知能や発達に影響を及ぼす可能性もあり、この点も他の心理検査の結果と併せて検討を進めているところである。
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