本研究では、ハイリスク児の中でとくに発達の道筋が明らかにされていない超低出生体重児を対象として、発達援助に役立てるために低年齢の段階からの発達予測の可能性について検討した。その手掛かりを得るために超低出生体重児を対象として1歳から4歳までの4年間にわたって遠城寺式乳幼児発達検査を実施し、発達年齢(DA)および発達指数(DQ)の両指標をもとに発達的変化を分析し、発達予測の可能性を検討した。その結果、「移動運動」、「手の運動」、「基本的習慣」、「対人関係」、「発語」、「言語理解」の各領域において、発達プロフイルやその速度に違いはあるが、いずれの領域においても加齢に従って上昇が認められ、4歳までに健常児の水準にほぼ到達した。DAやDQを指標として、加齢に伴う発達水準の変化や1歳時および2歳時を基準とした変化を検討した結果、発達プロフィールの特徴的変化や個人差だけでなく、発達領域別における変化も認められた。一般的に、発達の推移は複雑であり、予測方法についてはさらなる検討の必要性が示唆されたが、いくつかの手掛かりが得られた。第一に、「移動運動」および「手の運動」の変化は年齢間の相関値が比較的高く、発達予測の指標として利用可能であることがわかった。第二に、1歳時から4歳時までの発達分析の結果、発達予測は複雑な要因が含まれているので、かなり困難であるが、2歳児を基準とした発達予測は、分散も小さくなり、予測性が高まることがわかった。第三に、学習障害や行動障害などを弁別する他の指標と合わせ検討すれば、その有用性がさらに高まることが示唆された。
|