キャリア発達モデルと海外留学の意味づけについて、理論的研究を中心に研究をおこなってきた。 キャリア発達についての研究から、キャリア意識の発達には関心が重要な役割を果していること、また自分自身の興味や能力の理解が重要であることがわかった。さらに、関心や興味・能力の理解とともに、啓発的経験とそこで得られる進路先についての情報が、キャリア発達についての重要な側面である計画性や自律性の形成と結びついていると考えられた。 また、留学の意味づけについては、歴史的文献研究から、留学が主として、自分の研究能力や研究の可能性を広げ研究を志向する場合、科学技術の発展に寄与するためにおこなわれる場合、視野を広めたり、自分の経験を広めるといった自分の体験を重視する場合があり、時代の要請などの条件によっても意味づけが異なることがわかった。 さらに、キャリア発達における啓発的経験としての留学の役割については、将来の自分の進路を考えた場合に、専門性を重視して留学し、将来の進路の実現可能性を高めるための役割を果たす場合と、既に進路が決定されているが、さらに自分の教養を深めより広い視野にたてるようにするために体験を重視し、将来の進路選択の可能性を広げるための役割を果たす場合がある。 これらのキャリア発達モデルにおける留学の役割を実証的に検討するために、実際の留学体験者などへのインタビュー調査の計画を立案した。
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