JICAを通じて来日したラテンアメリカからの日系人に対し、申請者はすでに平成7年度に第一次調査を実施し、対象者20数名に、MMPI(心理テスト)のスペイン語版とポルトガル語版を施行、その後、MMPI結果のフィードバクを兼ねて、各自に面接調査を行なっている。 今年度は、上記の結果についてメキシコ国立自治大学の研究者や日墨協会関係者らとともに検討し、資料の正確さを期すとともに、ラテンアメリカへの移民がきわめて多い沖縄へ赴き、県立図書館等において、調査に必要な資料を検討してきた。 また、今年度来日したJICAの留学生に対し、上記のMMPIによる調査とその後の面接調査を実施中である。毎年20名前後が国費留学で来日するため、これらの日系人に同じ方法で調査を行ない、各年度の調査結果を累積していけば、本補助金による調査の完了する平成9年度には、60名程度の資料が得られる。今のところデータは順調に集積されつつあり、昨年度購入したパソコンによる整理と、本年度購入のカメラ等による画像資料の整理が進み、目的達成のみこみがついてきた。 国費留学生はみな、現地において留学試験の難関を突破して日本に来ている。本調査の対象としている日系人は知的にも高い水準にあり、調査の重要性に理解を示すとともに、優れた洞察力を持ち、ラテンアメリカでの生活や現状について、的を射た言葉で表現してくれるのを、面接中に何度も経験した。また、留学費用を受けとっているという意識が、日本の科学研究費による本調査への積極的協力姿勢につながっているという印象を得ている。
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