平均寿命の伸長と共に、元気な老人が増えてきている。しかし、老年期本番を迎える80歳以降の後期老年期ともなると、心身両面での衰退が顕著となり、それまでは独立した生活を営んでいた老人でさえも、生活面で家族あるいはホーム・ヘルパー等の公的なスタッフに依存する場面が増加してくる。そこで、心理的依存性の加齢変化および心理的依存性が加齢のプロセスで適応とどのように関係するかを検討することにより、心理的依存性とサクセスフル・エイジングの関係を追求すべく、以下の研究を行った。 (1)調査表の作成: 心理的依存性に関するスケールに加えて、心理的依存性の特徴を浮き彫りにするための変数、および適応を測定する諸変数をふくむ調査表を作成した。 (2)対象者の選定: 都内の一定地域に調査フィールドを設定した。65歳以上の老人を男女がほぼ同数となるよう選ぶ。その結果に基づき調査対象者の名簿を作成する。 (3)調査の実施: 対象者に調査への協力依頼状を発送し、協力の得られた老人について、専門調査員が戸別訪問し、所定の調査表を用いて面接による聞き取り調査を行った。実査に関しては、専門調査機関である新情報センターに委託して行った。 調査の終了までが今年度の予定である。分析用のコンピュータ入力の作成および解析は来年度に実施するので、研究目的に沿った結果の検討は、平成8年度に行う予定である。
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