研究概要 |
平成7年度は、教団理解のための総合的な研究及び教団資料の収集に務めた。具体的には、1)教団から機関紙「心の鏡」、教会報(昭和30年から月刊)のバックナンバーの閲覧、コピーの許可を得、また、初代管長の蔵書から教義形成の資料を探したが、未だ見つけるに至ってない。2)教団行事への参加を通じて、教義・儀礼の理解、及び教団幹部・信者とのラポール形成に務めた。参加行事は,a)5月1日2日の春期大祭、御神火祭、先祖供養祭、b)6月24日、29日の教団本部訪問、c)8月4日から6日の夏期教団教師研修会、d)8月7日みたま祭、c)8月4日から6日の夏期教団教師研修会、d)8月7日みたま祭、16日お盆流し供養祭、e)11月15日の初代管長先生5年祭、f)12月12、13日の天照教鎮座記念大祭、g)2月11から13日の冬季教団教師研修会、以上の行事で参与観察を行った。なお、天照教から神官を2度ほど研究会に招き、教義の理解を深めた。 天照教は、習合的な宗教観・世界観を持ち、教祖自身が今なおブラジル布教を行った祭に現地のウンバンダ等の影響を多少持ち帰り、自身の教えの習合性を強めている。教祖自身の言葉が現在のところ教義そのものであり、体系立てた教義への信者を含めた教団としての欲求は少ない。しかし、教祖は高齢であり、昨今のオウム真理教や霊視商法との違いを一般市民に広く理解してもらう必要性を感じており、半年ペースで著作活動を行っている。また、神官の殆どは儀礼以外の神仕えには関心を示さないが、大学で宗教学を専攻した2代目の神官の中には教団を現代化する抱負を持つものもいる。しかし、知的な面での指導性を発揮することが、教祖の宗教的カリスマと抵触する面が多々あり、教祖中心の教団への揺れ戻しがある。 今年度の収穫を一言でいうなら、教団内の勢力関係とその性質が理解できたということに尽きる。信者の信仰を内面的に理解する聞き取り調査を次年度の目標に定める。
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