1980年代、日本社会は中心地域と周縁地域とに再編成された。こうした日本全体の社会変動のなかで、地域システムの「開放化」を積極的に推し進めると同時に、地域社会内部に向かって求心してゆく「閉鎖化」が必要である。こうした前提にたって、東北地方と北海道の過疎地域を対象に、各地域が自らの発展のために、どういった過疎対策を立案し、実行し、それに、いかなる評価を下しているのかを調査した。 その結果、次の点が明らかとなった。 (1) 過疎地域間の格差の拡大 過疎地域のなかで、地域活力を蓄えている地域とそうでない地域との格差が拡大しつつあること (2) 地域のおかれている条件の規定力は弱い 地域の客観的条件は、この過疎地域間の差異化を説明しないこと (3) 地域への「意味賦与」 地域活力の決め手となっているものは、自らの地域への「意味付与の力」であること (4) 意味賦与と「開放と閉鎖」との関連 その意味付与の力は、地域を開放し外部からの評価を内部化(=「閉鎖化」)することによっておこなわれていることが明らかとなった。
|