仙台市にある東北音楽センターに保管されている資料を整理し、1990年までの運動史年表が完成しつつある。特に、80年代以降は歴史というよりも現状に近いものであって、運動においてもきちんとした総括がなされていない。そのめ、仙台合唱団の団員だけではなく、宮城や東北の運動関係者からの聴き取り調査によって、総括を先取りするという検討が必要であった。これらは現在仙台合唱団の解体=再編が検討されている最中であるので、崩壊過程の研究として位置づくかどうか、まとめにはもう少し時間が必要である。 また、96年9月に東北で初めて開催された日本のうちごえ祭典(盛岡)の取り組みにおいて、東北の主だったメンバーが集まったこともあり、聴き取り等の調査を行った。東北で全国祭典を開催できるようになったことと、一つの合唱団が大きくなったことが必ずしも一致していない歴史がある。普及と組織をめぐるこの視点は、音楽性とイベントというもう一つの対立点を引き出したと思われる。これは感性、理性という個人の発達の問題であると同時に、「経営」という次元の違う課題を自らの発達課題としてどう位置づけるかという新たな視点を引き出した。 研究の学際的位置づけに関しては、特に社会教育学の課題として、「大衆運動における教育実践について-社会教育の社会学の立場から-」をまとめた。(弘前大学教育学部紀要第77号投稿中)
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