研究課題/領域番号 |
07610174
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉田 千秋 岐阜大学, 教養部, 教授 (40021802)
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研究分担者 |
ラッセル ジョン・ゴード 岐阜大学, 教養部, 助教授 (90262740)
竹内 章郎 岐阜大学, 教養部, 助教授 (60216843)
津田 雅夫 岐阜大学, 教養部, 教授 (10144099)
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キーワード | 自己反省的象徴 / 言葉狩り / 歴史修正主義 / 国砦化 / 固有信仰 / 想像力 / 共同責任 / 自己決定 |
研究概要 |
1、異文化の接触に関わる差別問題として、現代日本における黒人やユダヤ人への差別・偏見を、外来像と和製映像、煽情的報道。黒人分化の商品化、言葉狩り、マスメディアの姿勢等の具体的問題を通じて明らかにし、これらの差別・偏見の克服を通じての社会的公正の実現を展望した。 2、最近の日米両国における戦争像の修正ないし神話の蘇りの分析を通じて、両国における被害者意識の強調と加害者責任の放棄の問題を捉え、戦争を巡っての真実への希求抜きには社会的公正も実現し難いことを論じた。 3、柳田国男の諸論稿及び周辺研究を素材に、また、昭和前期の思想史全般にも言及しながら、民間信仰としての固有信仰、宗教的無関心と代用宗教、宗教批判と国家イデオロギーとの関係に立ち入って、民衆の意識次元での社会的公正とは何かについて論じ、三木清の構想力概念から導きうる社会的公正概念を解明した。 4、リベラリズムを中心とする欧米の社会哲学の検討を通じて、公正概念と不即不離の関係にある責任概念を、個人責任論と共同責任論との関係及び責任概念の諸個人の制御能力との関係という視角から問い直し、社会的公正の実現には、社会的責任概念の新たな構築が必要であることを示した。 5、日本における生命倫理学の展開にそくして、インフォームドコンセント志向や自己決定権論の隆盛の影にも拘らず、何故、医療現場や生命自体を巡る差別・抑圧問題が克服されないのかを論じ、実践的課題としての合意形成論を生命の質論と媒介する中でこそ今後の生命を巡る公正が実現されうるとの見通しを提示した。
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