研究概要 |
今年度は,3年計画の2年目に当たる。そこで,(1)前年度の続きである資料の収集,(2)動画データの処理の工夫,(3)成果の一部公表,を年度内に達成すべき研究計画の主な項目として考えていた。 (1)については,年度の前半までにほぼ修了した。ただし,資料として完全な形にまでする,つまりトランスクリプトを終えて分析に供するまでにかなりの時間を要するため,現在もなおその洗練化に力を入れている。 (2)のデジタル化による動画処理にはどうしても一定の限界があるようだ。オリジナルのビデオ画像も良質なものではないので一層の画像劣化を免れないためである。ただし,画像操作は容易になるので視線の分析等の点では従来よりも成果を上げていると感じている。またそれに伴うコミュニケーションの新たな分析モデルを模索中である。 (3),成果の一部公表については,昨秋の「日本エスノメソドロジー・会話分析研究会」等における口頭発表の形でまず行ってみた。医者がインフォームド・コンセントの精神を発揮しているにも関わらず,患者への診断情報の伝達がいかに場面適切性を維持するための相互作用儀礼に左右されてるのかといった点がよく現れているとあるデータを素材にして論じた。引き続き,この春には本研究に関連した論文を出版していく予定である。
|