基本課題である都市の「匿名性」の予測の異なるモデルを構築し、それらの数理的な吟味とシミュレーションを工夫した。ここでは匿名性はネットワークのいくつかの構造特性(例えば、密度)によって測定されるものとした。最初に、社会ネットワークと社会過程をブラックボックスに入れたままでのマクロのモデル考えた。次に、ファラロとスコボレツの互恵性や兄弟選択のパラメータによって生成される偏ネットモデルの応用を考えた。さらにその次のワッサーマンによって考案された互恵性原理、中心者選択原理、そして推移律原理等が働くマルコフモデルを吟味した。最後に個人の効用を考慮したモデルを考察した。これらのモデルは異なる構造をもつが、いずれも人口を外生変数として生成される社会ネットワークとなるように工夫した。そして重要な出力としての構造特性を観察できるようにした。 他方で、日本の都市(市町村)の人口とその他のマクロ特性、なかでも犯罪統計を収集し、都市の推定されるネットワークの構造特性によって表現される匿名性によって、都市の犯罪を予測する回帰モデルを考察した。
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