本研究-海洋関連複合産業の展開と地域経済主体に関する実証的研究-における平成7年度の研究実績として以下の諸点をあげることができる。 (1)海洋関連産業、地域経済、中小企業の経営再構築などに関する文献・資料の収集。 他の地域における地域産業の複合的再編および地域活性化政策などに関する資料収集・調査(市原市・木更津市・君津市、舞鶴市、呉市・沼隈町等) 対象地域のうち本年度は主に佐世保地域地域に焦点を絞り、海洋関連企業・団体および他の地場企業からの資料収集、ヒアリング調査を行い(8団体25社)、さらに佐世保市の全製造企業への郵送アンケート調査を実施した(123社回収)。 以上の調査等を通じて、とくに他地域での企業調査のなかで、従来型の対策「経費削減等による体質強化」や「雇用調整等の合理化」から「付加価値を高め品質精度の向上」等を本格的に指向する対策が主流になりつつあることが明かになった。また、佐世保地域の調査等からは現在のところ次のような諸点が明らかになりつつある。(1)佐世保地域の中小製造企業においても、この間従来型の経営戦略から新たな対応を指向する動向が見られるが、行き詰まっている企業も少なくない。とりわけ、造船・造船関連企業の多くが従来型の体質・戦略から脱しきれていない現状にある(陸機分野の企業との差異が見られる)。(2)当該地域の中小企業において技術力強化と人材養成・能力開発が決定的であること、したがってまた地域における人材養成のあらたな組織・制度等の研究が極めて重要であるという証左を得た。
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