研究概要 |
平成8年度の研究実績として以下の諸点をあげることができる。 1前年度に引き続き,地域活性化,地域経済,海洋関連産業,中小企業の経営再構築等に関する文献・資料の収集. 2他地域における中小企業の活性化(造船関連・鉄鋼機械金属関連),地域産業の複合的再編および地域活性化政策などに関する資料収集・調査.(東京都・千葉県等) 3前年度の中小企業アンケート調査(佐世保市)をふまえ,今年度は対象地域全体の中小企業,関係行政機関,関係諸団体等に対する資料収集・ヒアリング調査をおこなった.(22企業および9行政機関,7団体,その他4)現在,収集資料および調査結果の整理/分析の作業中であるが,以下のような現状と研究課題が明らかになりつつある. (1)中小企業振興施策の問題点.とくに,地域の中小企業のニーズに対応した人材養成/技術力強化施策の脆弱性,企業間連携・交流における製造-流通-販売の分断性,研究機関の創設/産官学連携の重要性,人的ネットワーク構築の現状と課題,中小企業振興施策におけるソフト面のニーズの重要性,等が注目される. (2)企業間の取引や交流,労働市場等が県および市町村の枠をこえて展開しているにもかかわらず,県をはじめとした自治体行政の壁が様々な障害となっている. (3)当該地域において民間主導の産業おこしや地域づくりの胎動が大きなうねりになりつつあるが(たどえば,「海洋クラスター都市構想」実現運動の展開),こうした民間主導の運動に対する自治体行政の対応のあり方が重要な課題となっている.今後の広域行政のあり方に関する学際的研究の必要性.
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