平成7年10〜11月、平成4年(3年半前)の調査協力者を対象として再度、郵送法によるアンケート調査を実施した。2つの都市での有効回答数はそれぞれ298票と169票であった。回収率はともに50%を超える。転居、死亡、病気による回答不能などの調査不能は、それぞれ9.7%と16.4%であった。前回同様、対象者の属性、現在の健康状態、社会関係を中心に調査票を設計したが、引き続き面接調査を計画しているため、とくに前回の調査時点以降の変化を確認する項目を設定した。調査対象者の年齢の平均は75歳である。属性のうち家族形態の変化をみると、「変わらない」は60%に達するが、「配偶者の死亡」(25%)と「配偶者の入院、入所」(12%)を含めて、40%に変化が生じている。「夫婦のみ」は51%、「一人暮らし」は14%である。健康状態の変化では、「変わらない」は66%と多数を占めるた、「わるくなった」も27%である。「健康」と答えた人の比率は41%である。また、ADL得点の平均も10.7と高い。生活面では、半数以上の人が食事の支度や掃除などを担う。このうち、「負担は同じだがきつく感じる」は34%、「負担がふえる」は8%あり、家事が負担となってきている層がある。社会関係では、友人・子供・兄弟との行き来について、それぞれ75%前後が「変わらない」と答えている。「変化あり」のグループでは、子供との行き来が「増え」、友人・きょうだいとの行き来が「減る」をあげた人が多い。以上から、健康状態、家事の遂行能力やサポートの有無、そして社会関係が緊密に結びつき、地域でのライフスタイルをつくりあげることがうかがわれる。今後の調査では、個人の老年期における居住のありかたがこれまでの職業経歴によりどう異なるのかを2つの都市に特徴的な職業に焦点をあて検討してみたいと思う。
|