• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1995 年度 実績報告書

市民運動による「公共性」づくりと主体形成

研究課題

研究課題/領域番号 07610197
研究種目

一般研究(C)

研究機関成蹊大学

研究代表者

高田 昭彦  成蹊大学, 文学部, 教授 (50102174)

キーワード市民運動 / 公共性 / 市民公益活動 / NPO / まちづくり / ボランティア
研究概要

今回調査した環境運動、まちづくり運動、NPO法案策定を進めている運動団体等の中から抽出される、「公」でもなく「私」でもないコモンズの領域とも言えるものを「共」の領域と規定すれば、それは3つ考えられる。
第一に、「共」が領域を得られた比較的狭い地域につくり出される場合。例えば京都の中心部である田の字地区あるいは妻籠である。ここは古い共同体意識は残存しているが、それによって「共」が形成されているのではない。古い地域を再構成することにより新たな「共」がつくられている。担い手は地域から一度外に出たUターン組である。ここでの「共」は、妻籠の「統制委員会」に見られるように強制力を伴ったきびしさがある。
第二に、「共」がある生態学的条件を共有する比較的広い地域(bio-regionalな地域)につくり出される場合。例えば長良川流域である。これは当該の生態学的地域へのゆるい共属意識が底流にあり、それを脅かす何らかの危機が生じた時に一気に動員される。1988年からの上流の郡上八幡から下流の長島町に至る反対運動、さらに関東や関西からの反対支援の運動の盛り上りに象徴的に見られる。また特筆すべきは、阪神大震災後のボランティアの動きが、阪神地域に一つのまとまりとしてのbio-regionalな地域を生み出したことである。
第三に、「共」が社会全体に普遍的につくり出される場合。NPO法案をつくろうとする動きは、個々の市民団体が人的にも財政的にも安定するように法的な認知を与えようとする運動であるが、その結果市民活動が格段に容易になることが予想される。そうなれば国家規模で「共」形成の市民運動が起こり得る。市民の間にすでに「共」への志向が育ってきているのは、この度の大震災で証明されたのだから。
次年度は、この3つの「共」形成の動きを、相互関連を押さえながらさらに深めていくことにしたい。

URL: 

公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi