対人レベルのコミュニケーション行動を分析するためのフレームワークについて議論を重ねた。目的は次の通りである。異文化の対人コミュニケーション行動を理解するとき、文化が異なるという理由だけでなく、何の側面がどの程度異なるのかを説明できなければ文化差を説明したことにはならない。これを成し遂げるには、異文化共通のコミュニケーション行動概念を確定し、それでもって異文化を測定し、文化差を説明しなければならない。つまり、普遍的なコミュニケーション行動概念で文化差を説明するのである。 コミュニケーション行動を分析するための15の概念からなるフレームワークをこれまでに作成した。今回このフレームワークを構成する概念を再検討した。その結果、本研究においては、文化アイデンティティ、人種アイデンティティ、集団アイデンティティ、集団コミュニケーション行動、個人主義と集団主義、自尊心、マインドフルネス、性的態度、年齢態度、時間感覚 身体行動・タッチング、言語態度、直接的・関節的スタイル、言語攻撃性の14の概念をもってコミュニケーション行動の分析項目とした。 平成7年11月から12月にかけて、調査票を回収した。現在、コーディングを終え、統計分析のためにデータの入力中である。研究結果の論文は、構成概念と文化的傾向、調査票の作成、調査の実態まで書きすすめ、分析結果と考察を残すのみとなっている。
|