本年度の主要な研究課題は、ライフスタイルに関連する従来の諸研修の成果を踏まえながら、高度成長期を大きく変動した日本社会における人々の存り様をできるかぎり統合的に説明し得るライフスタイル概念を中核として説明図式をそれに基づく実証的調査研究を実施しうる形で構築することであった。現在の段階の構想しているその図式の概要は、ウェーバーの行為論に立脚しつつ、個人をその生活欲求を様々な生活局面に組織的に投企しつつその充足を追求する統一的行為主体であると理念的にみなし、その投企を方向づける主体要素として認知的要素、追求充足的要素、価値的要素を設定する。これらの要素間の関係は相互規定的関係であるが、行為主体の投企活動がライフスタイルという形で構造化されている場合、その中核的要素は価値的要素であるとみなす。さらに生活要求投企の対象となる生活局面として家族に関係する生活領域、職業に関係する生活領域、地域地域に関係する生活領域、消費に関する生活領域、余暇に関係する生活領域、政治に関係する生活領域の6つの局面を仮設する。さらにそれぞれの生活局面にはそこで具体的行為を方向づけるものとしてさらに3主体要素を想定する。以下が図式の概要であるが、本年度の次なる課題は、この図式に沿って、これらの要素や領域に関わる従来の調査研究の成果を取入れる形で具体的質問項目を設定し調査項目を完成することであるが、そこの作業は現在進行中でありその完成およびプリテストは次年度に繰り越すことになった。
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