本研究の目的は、高度成長期を経て大きく変動した日本社会における人々の在りょうを説明しうる分析図式をライフスタイル概念をキイ概念としながら構築し、さらにその有効性を実証的に検証することにあった。そして本年度の課題は、これまでの研究作業の結果として仮設された価値意識を中核とするライフスタイルに関する説明図式を前提にしての価値意識に焦点化した調査項目の作成および調査の実施、調査結果の分析と前提とした説明図式に付随する仮説の検証であった。結果として本年度の研究作業は二つの方向で進められた。その一つは前年度にひきつづいて本研究の立脚する方法論的立場をさらに理論的に整理し明確化する作業、もう一つは調査の実施に向けての作業である。前者については、その立場を行為論に立脚した社会意識論的アプローチとして社会意識研究の中に理論的に位置づける試みをおこなった。その結果の一部は「社会意識から『社会』を考える-社会意識研究序説として-」(鈴木俊道・山本正和編著『社会学 To Live』収蔵、第一法規、1997年8月発行)として発表された。後者については、学生を対象とするプリテストを行いがら調査項目を作成し、調査対象地域を愛知県日進市としてサンプリング作業を行い千名の調査対象者を選出して調査準備を完了した。調査結果の分析と仮説検証の成果は研究成果報告書においてその詳細を公表するが、分析の一つの焦点は価値意識の構造化の在り方と生活行為の関連の検討である。
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