研究概要 |
(1)本年度は復帰以降の沖縄における社会変動の規定要因となっている沖縄振興開発計画が推進される中で、沖縄の産業構造ならびに就業構造がどのように変化したかを基礎統計資料を整理することによって明らかにした。その場合、復帰以降のみにしぼらず、米軍占領下の時期における当地域の構造的変化も明らかにした。 (2)敗戦から復帰までの基地経済の時期に第1次産業が著しく変容したこと、第3次産業が肥大化したこと、第2次産業についていえば、製造業が伸びなやんでいるのに対し建設業が復興工事や興建設のなかで大きくなったことが指摘される。また、復帰後については、基地収入が激減し、それに代って財政収入が沖縄の経済を支えるようになってきた。その結果ともいえるが、財政支出の受け皿となっている建設業の活躍が著しいこと、さらには、沖縄振興開発のなかでスポット・ライトをあてられてきている観光産業の伸びがめざましいことを確認される。 (3)なお、基礎データによって沖縄社会の構造的変化を明らかにするばかりでなく、都市部として那覇市、近郊農村地域として本島南部の東風平町、過疎農村地域として本島北部大宣味村を事例対象として、それらの地域で聞きとり調査,人口動態、産業構造自治体の施策などの資料収集も行った。 (4)本年度の成果として、『沖縄の都市と農村』(東京大学出版会)、「沖縄社会の構造とその変化」(椙山女学園大学研究論集,No.27)がある。
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