復帰以降、第1次ならびに第2次沖縄振興開発計画では、本土との格差是正ならびに自立的発展の基礎条件の整備を目的として、また、それに続く第3次沖縄振興開発計画では上記のものに加えて南の交流の拠点としての整備を目的に財政投入を大々的に行ってきた結果、沖縄社会は著しく変貌した。今回の研究では既存の統計資料を集収し、沖縄社会の社会変動の実態とその問題点を明らかにすることができた。 まず、1次振計、2次振計、3次振計と、沖縄振興開発計画がどのように推移したかを具体的に、目標、事業内容、3次振計前半期までの成果と問題点について考察した。この研究の成果が拙稿、「沖縄振興開発計画の推移と今後の課題」である。また、つぎに沖縄振興開発計画によって復帰以降、社会変動が沖縄の社会にどのようにみられるのかを、変動の主軸となっている産業構造と就業構造に焦点をあてて考察した。その場合、第1次産業では著しく変容した農業について、また、第2次産業では財政投入の受け皿の役割を狙った建設業と、自立的発展を計るなかで期待をかけられながら伸びなやみの著しい製造業について、第3次産業では目ざましい発展をとげ、いまではかけがえのないリーディング・セクターとしての観光業などについて明らかにした。その成果は今回の科学研究費補助金研究成果報告書に「開発に伴う沖縄の社会変動」と題して掲載した。なお、礼金変動についての成果として編書、『沖縄の都市と農村』(東大出版会)などがある。
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