1)家系継承の実態について、申請者がこれまでに資料を集めて分析を行なった実績がある東北地方について、盛岡南部藩に加えて、秋田佐竹藩の系譜資料の入手を一応終了し、資料のデータベース化を行なうともに、会津若松市立図書館に所蔵されている会津藩諸士系譜360巻のコピーの入手を図った。 2)既に一応入手完了した加賀前田藩の諸士系譜について、人口学的な側面を考慮にいれたデータベース化を終了し、家督相続の実態を明きらかにするべく分析を行なった。 3)西日本について、既に得られた鹿児島島津藩の家系継承の知見に加えるべく、萩藩と徳島藩の系譜資料の入手を図った。 4)以上の作業を通して、系譜資料を利用したわが国の武士階層における家系継承、養子、分知分系などの実態解明作業を、地方差をも考慮に入れて行なうことに対する見通しが得られた。今後は、資料および関連情報の収集をさらに進めるとともに、収集された資料の分析を行なうことになる。それぞれの地域に関して、統一的、あるいは画一的な分析方法を採用することは困難であり、それぞれの資料の特性に応じた対応が必要であることが確認されているが、個別的な分析とともに、なお、地域差、時代差などについて比較可能なように配慮しながら分析を進めている。
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