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平成7年度から始まった本研究は、まず研究書等を点検・整理して、価値観形成の重要な段階として、従来、以下のような4つの時期区分が注目されてきたことを見いだした。(1)両親--特に母親--の影響力が圧倒的に強い幼児期。(2)兄弟関係やピア・グループとしての友人関係やテレビからの影響力が無視できない児童期。(3)異性や勉学が影響する思春期。(4)肉体的には大人になっているが、精神的には依存心の強い若者期。しかし、価値観は常に変化しているものであり、若者期以降の価値観の変化にも考慮がもっと払われなければならない。そうした観点から、平成7年度には、大学を卒業してから4〜7年経った20歳代後半から30歳代はじめの人々を対象にアンケート調査を行い、この世代が、「子ども-若者」型価値観から「親-大人」型価値観への転換の世代であることを明らかにした。さらに、平成8年度から本年度にかけては、大きな時代変化の中に生きてきた昭和1桁生まれの女性たちに聞き取り調査を行い、その価値観の変化が、こちらが予想したほどにドラスティックなものではなく、連続的なものであるということを見いだした。
本年度(平成9年度)の中心的な研究は、昭和62年から5年おきに継続的に行っている「大学生の価値観」調査の第3回目の実施であった。調査結果については、現在分析中であるが、現時点で見いだされているこの10年間の変化としては、以下のようなものがあげられる。第1に、男女平等化志向が進む方向でジェンダー意識が変化したこと。第2に、これと関連して伝統的な性規範も解体したと言っていいような段階まで来ていること。第3に、社会関心や政治関心がさらに大きく減退していること。第4に、戦争に対する危機意識が弱まり、自衛隊などの存続を含めて社会体制の現状維持志向がさらに強まっていることなどが見いだされている。
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