ノートブック型パソコン上でデータベースソフトを用い、工場事業所の存続年数データを効率的に作成できた。それをもとに、一般機械製造業・電気機械製造・染色整理業の各業種について生存関数モデルの推定を行った。統計計算には、同じくパソコン上で、生存関数計算用プログラムTDAを使用した。 結果としては、中分類水準で比較した場合には、生存関数の型、「新しさの不利益」の傾向の出現の仕方について有意な差が現れ、業種間比較の意義が推定できた。しかし、さらに細かく小分類レベルの業種区分を加えても、推定値に影響がみられなかった。それに対して、従業員規模については、かなりカテゴリー区分を荒くとっても、影響が現れた。例えば、電気機械製造業の場合、神奈川県の1960年以降1980年以前に設立あるいは参入した事業所中4000例をとった場合、小分類レベルで個体数の多い「発電・送電用機器」「通信機」「電子部品」の各業種について、また、従業員規模について「1〜3人」「4〜29人」の各カテゴリーについてダミ-変数を設定したところ、従業員規模に関するものにのみ有意な係数推定値が得られた。(これらの分析の一部分を行動計量学会第23回大会において報告した。) これらの結果から、生存関数モデルで企業の生存確率の推定を行うにあたって、業種の影響をみる場合、小分類水準にしぼって集中的に分析するよりも中分類水準で包括的に比較したほうがよいという結論をくだした。そこで、データバンク企業から業種をしぼって個別の企業組織について情報を提供してもらう方針を変更し、全国レベルで、地域別・従業員規模別に、中分類レベルでのすべての業種にわたる倒産情報のデータを得た。それにもとづく統計的分析は、次年度にかけて詳細に行う予定である。
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