本研究では死別後の生活の再構成の過程や適応、死別後に生じる生活上の問題を明らかにすることを目的として、縦断研究を行ってきた。平成元年2-3月に死別後1年-1年6ケ月を経た55歳以上の男女228人にたいする調査、平成3年9-10月に死別後3年7ケ月〜4年1ケ月の同一対象者に第2回目の追跡調査の調査を行ない110人の回答を得た。 7年11月には死別後7年8ケ月〜8年2ケ月の経過した者に第3回目調査を行った。調査項目は、平成元年2-3月に実施した死別後1-1年6ケ月を経た人々を対象にした調査票に基づいて、今回の死別後7年6ケ月-8年を経た同一対象者に対する質問項目を検討し、再度質問する項目と、省略する項目、新たに加える項目に分けて、調査票を作成してプリテストを行った。その結果83人の回答を得た。不能票27人の内訳は、死亡6人、病気2人、入院1人、転居1人、拒否8人、不在4人、再婚1人、多忙4人である。現在、調査結果は分析中であるが、おもな結果を一部述べると、第2回調査の時点ですでに死別からの回復がみられたが、今回においても同様であった。 さらに、質的研究のための質問項目についても検討し、作成した。その内容は、生前の夫婦関係が、その後の親子や親族や友人などの人間関係にどのような影響を与えるか、配偶者に死別して、一人で生きて行く上でどのようにアイデンテイテイを確立したのか、配偶者の死を経験して死に対する意識が変化したかなどを知ることにより、大量調査を補足した。対象者の多くは、配偶者との死別をショックであり、とても寂しいと話しているが、死別前の夫婦関係については、夫中心の生活でがまんを強いられることが多く、結婚生活について必ずしも満足をしていなかった。そして、死別後の現在の生活が自由であることを述べていた。
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