研究課題/領域番号 |
07610228
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小出 達夫 北海道大学, 教育学部, 教授 (70001823)
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研究分担者 |
横井 敏郎 北海道大学, 教育学部, 助手 (40250401)
町井 輝久 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター・生涯学習計画研究部, 教授 (60091500)
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キーワード | 農業高校 / 高校改革 / 市町村立学校 / 公共性 / ネットワーク / 地域連携 / 教育行政 / 地方自治 |
研究概要 |
1、昨年10月以降、士幌高校の生徒・教員アンケート調査を実施し、報告書を執筆中である。また壮暼・洞爺・倶知安の道・町村立農業高校のヒアリング調査を終えた(『生涯学習年報』第2号に掲載予定、4月刊行)。 2、新たな知見として、道立と町村立農業高校の違いが一層明らかになった。生徒の欠員や入試の倍率の違いという表面的違いだけでなく、歴史的に見ても、例えば農業高校の存立の危機的状況が戦後2回はあったが、この危機への対応の違いも明らかにされつつある。一口でいえば、町村立高校は一貫して地域連携を深めてきた。道立高校は改革の度に地域連携の度合いを希薄化してきた。こうした違いが公共性と関連するという、本研究の仮説は検証されつつある。 士幌高校の教員アンケート調査は、普通科教員と専門科教員との意識の違いを明からにした。前者は自らが置かれた学校・地域・生徒を含む現実世界から自らの教育実践を抽象化し、一般化する傾向が強いのに対し、後者の場合はその逆になる。こうした違いは町村立農業高校が内に含む危機である。普通科・専門科目の有機的統一が不可欠になっている今日、学校現場ではその乖離が進行している。これでは総合科など「新しい高校」の実現もおぼつかない。両科目の担当教員の学校内連携の実践の吟味も不可欠の課題になってきた。 4、生徒の意識調査では、都市部や普通高校の生徒とは違った意識が明らかにされた。とくに生徒の自己規定、自己表現、自己開示の機会が多い士幌高校においては、北十勝の生活の再生産過程に自覚的に自己を位置づける志向を持ち、学歴社会とは違う自己意識の形成ができているのではないか、という我々の仮説は検証される可能性がでてきている。
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