すでに国内および国外の文献は、第一次文献および第二次文献とも所在調査済であり、研究代表者および研究分担者の手許にないものを中心とした補充作業、そしてその整理作業から、本研究は着手された。研究代表者および分担者の役割(山内:ドイツにおける「エミール」受容、安川:イギリスにおける「エミール」受容、その他ドイツおよびイギリス教育史専攻の大学院生を中心とした若干の若手研究協力者)にしたがって、作業にあたった。東京(筑波大学学校教育部)で研究打ち合せをかねた資料収集状況と研究体制の点検を行なった。国内各地において収集した資料の整理にかんする若干の作業は年度を越えて継続される。 研究打ち合せにおいて行なった資料収集状況の点検の結果、イギリスにおいては、「エミール」受容が近代学校教育の発展にとって否定的媒介とされたが、ドイツではむしろその逆であることなど、研究の焦点が対照化され、より明瞭となった。そして、そこにおいては、18世紀ヨーロッパを見据えた研究の発展をめざし、ヨーロッパ啓蒙思想に関して関連研究者とのより緊密な意見交換を行なう必要性を確認した。
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