研究概要 |
本研究では,次の3側面から長野県の(旧)下高井郡日野村日野小学校(現中野市立日野小学校)における近代的時間構造の形成と定着の歴史的過程及びそれが地域の生活習俗に及ぼした影響を明らかにすることを目的とした。 1時間サイクル・リズムの側面 学校の近代的時間サイクル・リズムと伝統的習俗との葛藤が明治末期まで見られることが明かとなった。とくに明治初期では「精霊祭」(盆)が,明治中期から末期にかけては1月14〜16日の「物作り」が学校との間で葛藤をもたらし,臨時休業などの措置がとられている。また,明治後期に至るまで暦年のリズムが学校時間の基調を構成し,年度(4月1日〜3月31日)のリズムが基調となるのは明治末期ころであることが明かとなった。 2年齢主義の側面 日野村においては明治20年代後半に,入学年齢の一定化と入学時期の定期化が進行したことが明らかになった。その後明治33年を最後に進級のための試験が廃止されたことにともない、6歳の4月1日に小学校に入学し,順次年齢に応じて学年を上がっていく年齢主義の学年制が定着した。 3時間管理の側面 明治後期になると,子どもの時間をいわば機械的に管理するのではなく,教育的・衛生的に管理するようになってくることが明らかとなった。たとえば,夏季休業中に日課表や課題を与え,登校日を設けその点検を行なうなどである。
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