2か年継続研究の最終年度としての本年度の研究実績の概要は、下記のとおりである。 1.研究主題である「追跡調査」からはは以下のことを把握することができた。 (1)昭和58年度から平成6年度までの12か年間に宇都宮市心身障害児就学指導委員会で「精神薄弱教育特殊学級入級適」の就学指導に関する「判断」を受けた小学校児童356人について、実際の教育措置と学校生活適応状況について追跡調査を行なった。教育措置並びに学校生活適応状況を把握できた事例は280人(79%)であった。このうち、「判断」に基づき「精神薄弱教育特殊学級」に入級した児童は220人(79%)、入級することなく「通常の学級」に在籍している児童60人(21%)であった。 (2)同期間において、就学前時に就学指導に関する「判断」を受けた幼児105人について別個に追跡調査を行なった。その後の状況を把握できた事例は92人(88%)である。92人のうち、「精神薄弱特殊学級入級適」と判断された幼児は74人(80%)である。74人についての実際の教育措置は、「精神薄弱教育特殊学級」に入級した者39人(53%)、「通常の学級」に在籍している者33人(45%)であった。 (3)上記(1)及び(2)の事例について、「精神薄弱教育特殊学級」に入級した者については25項目、「通常の学級」に在籍している者については19項目の観点から学校生活適応状況を調査し、両者の比較分析を行った。その結果、「通常の学級」に在籍している者の学級生活適応状況に大きな問題があることが分かった。 2.平成7年度に実施した「関連する調査」(「特殊学級経営上の問題点」「特殊学級の役割を如実に示す事例」「意識上の障壁に関する実態」)の結果について、それぞれの要約を作成し、それらの問題点を提示した。
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