研究概要 |
2年間の計画で進行中の本研究が初年度に達成した成果は、以下のようである。 (1)Women as Mother in Pre-industrial England (ed.by Valerie Fildes,1990)、Ryan,M.P.,Empire of the Mother:American Writing about Domesticity 1830-1860,1982、クニビレール/フ-ケ『母親の社会史』・Jacques Gelis,History of Childbirth,1991などの先行研究の検討を終え、そこで言及されている胎教論テクストのリスト化を行なった。 (2)British Library CatalogueおよびWellcome Institute医学史図書館の蔵書目録の検索を行い、産婆術書・家政書のリストを18世紀までについて作成し、また、胎児に関する著書をピック・アップした。 (3)作成されたリストから、重要あるいは典型的と思われるテクストの発注作業を、主としてBritish Libraryに対して行なった。 (4)すでに手元に収集し終えたものの中には、上記Raynald・Gouge・Tryonの著作のほかに、Soranus' GynecologyやNicholas Culpepper,Directory for Midwives,1651など産婆術書のスタンダードな著作も含まれている。 (5)Raynald・Gouge・Tryonの著作はもちろんだが、産婆術書の古典たるSoranusの産婆術書の中に胎教論とみなされる言説が大量に含まれていることが判明した。今後、他の産婆術書とともにこれらの言説が分析され、またアンソロジー化されることが期待される。 (6)同時に、目録検索のプロセスにおいて、18世紀初頭のイギリスで胎児に対する母親の想像力の影響に関する論争が成されていたことが明らかとなった。
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