本研究は、公教育の地域的な経営・管理について「地域教育経営」という枠組みを仮説的に提示し、これに関わるわが国及び諸外国の公教育経営の理論と実践を吟味し、その考察をもとに、「地域教育経営」の理論と実践可能性を検証するものである。 (1)教育経営論の吟味、及び「地域教育経営」論の理論的枠組みの仮説 「教育におけるAdministration」についての先行研究に批判的検討を加え、公教育の経営・管理について基礎的な理論を整理し、特に、「学校の自治」論をはじめとする従来の理論枠組み・先行学説とそれをめぐる諸々の議論について総括的・批判的検討を行い、その整理の上にたって、「地域教育経営」の理論的な枠組みを仮説的に提示した。 (2)「地域教育経営」実践の事例検討のための予備的調査研究 次年度以降、国内の事例としては、北海道・宗谷管区における教育経営システムと個別学校づくりの実践、国際比較の観点からの事例として、特にイギリスにおけるLocal Management of Schools(略称LMS.「地域的な学校の経営・管理」)の理論と実践を取り上げるために、これらについて、実践の概要やその理論枠組みの特徴などを、教育経営学の視点から検討を加える基礎的作業を行った。
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