周辺地域と比較して「ほとんど格差のなくなった同和地区」と「なお多くの格差を残している同和地区」の比較分析を通して、子どもの教育上の「格差」に関連する「地域の教育力」の内容・構造を明らかにすることが目的である。平成7年度の研究の進行状況は、以下の通りである。 第一に、周辺地域と比較して「なお多くの格差を残している同和地区」を校区にふくむ学校(小学校・中学校)を対象に、子どもの学力・生活実態調査を実施し、第一次の分析を行った。その結果、次のような特徴が見られた。 1.生活保護家庭、父子・母子家庭の子どもの学力はやや低い傾向にあるなど、生活困難層の教育課題が一つの焦点である。 2.中でも、同和地区の生活保護家庭・父子母子家庭の場合、学力上位にくる子どもの比率が特に低いなど、同和地区の「家庭・地域の教育力」が関連していることが予測される。 3.全体として、小学校から中学校にかけて学力の二極分化の傾向がある。学力が落ち込む場合の要因は多様であるが、生活困難が一つの重要な要因として働いていることが予測される。 第二は、周辺地域と比較して「ほとんど格差のなくなった同和地区」を校区にふくむ学校(小学校・中学校)を対象に、子どもの学力・生活実態調査を実施した。分析は、進行中である。 第三は、周辺地域と比較して「ほとんど格差のなくなった同和地区」における住民の社会的自立(就労・教育)の実態分析のための調査を実施した。同和地区と周辺地区の両者を対象とし、比較分析を通して同和地区住民の社会的自立の程度を検討する。分析は、進行中である。
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