1.「生涯学習体系への移行」は、広義の意味での「人々の学習と教育に関わるシステム」の身直しと再構築を前提とする。「生涯学習の基盤整備」と呼ばれるこの課題は、通常、システム総体を構成する諸々の下位システムのあり方の問題として我々の研究対象となる(例えば、「学習情報提供のシステム論」、「大学開放のシステム論」、「生涯学習推進組織論」等として)。「社会教育指導者の養成」という問題もまた、そのような意味で、生涯学習研究の主要な領域を構成するといってよい。三年にわたる本研究から、「社会教育指導者の養成」の問題は、そこには、次のような問題設定(課題意識)があらかじめ含まれていることが明らかになった。 (1)従来の「社会教育指導者」概念は「生涯学習の指導者」概念へと深化・拡大される必要がある。 (2)とりわけ、生涯学習システムの構築とシステムの稼働に直接従事する「人的資源」としての行政担当者の資質・能力の向上を図る必要がある。 (3)したがって今後、「社会教育専門職」の養成の高度化を図り、高等教育レベルにおける養成システムを構築する必要がある。 2.島根大学教育学部における「社会教育主事」養成の実験的試みをあとづけ、高等教育レベルにおける社会教育専門職養成カリキュラムの開発の可能性と方向性についてその理論的検討をおこなった結果、「大学と国立および公立社会教育施設の協働がもたらす学社融合の成果」が明らかとなり、「大学=学生教育の高度化」、「社会教育施設=社会教育実践の多様化への対応」という個別課題に対する「新たな対応のモデル」が構築できた。
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