国際学術交流プログラムが顕著なかたちで創設されたのは第一次世界大戦前後の英米両国、とりわけ米国においてであった。それらは、帝国主義の時代風潮のなかでC.J.ローズによって設立されたローズ留学基金をひとつのモデルとし、同じ頃、アメリカ社会に相次いで誕生した企業財団(カ-ネギ-財団やロックフェラ-財団など)基金をもとに設立されたものなのである。 本研究は、第一次世界大戦前後のイギリスとアメリカにおいて、国際(英米)学術交流プログラムがいかなる社会的背景のもと、どのような経緯で創設されるに至ったのか。(2)誰を対象としいかなる条件のもとに提供されたのか、(3)どのような人々がその恩恵をこうむり、国際学術交流・大学間交流の進展にいかなる寄与をなしたのか、等々について実証的に明らかにしようとするものである。 平成7年度の研究によってこれまでに得られた主な知見は以下のとおりである。 (1)英米学術交流プログラムは、帝国主義の時代風潮のなかでC.J.ローズによって英国オックスフォード大学に設立されたローズ留学基金をモデルとしたものである。 (2)第一次世界大戦前後、アメリカ社会にはカ-ネギ-財団やロックフェラ-財団など多くの企業財団が相次いで誕生するが、これらの財団はその文化活動の一環として社会福祉や教育に目を向け種々の援助をおこなった。 (3)アメリカの大型企業財団は教育の分野に多大な援助活動をおこなったが、なかでも大学・高等教育を重視した。そして、英米学術交流を中心としてさまざまな国際交流プログラムを創設した。
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