本研究は、子どもの生活体験と生活環境について東京地区の小学校を対象に、20年前と10年前と今日を年代別に捉えた実証研究である。特に、年代別対比では、同じ小学校の同じ5・6年生を対象に、同じ質問内容をもとに調査したものである。しかも、今回の調査では、東京地区(346名)だけではなく福岡地区(992名)、筑豊の庄内地区(252名)の3地区の調査も行い、3地区別の子どもの日常生活の実態をふまえて生活体験と生活環境について明らかにした。 研究の成果としては、(1)年代別の対比では、今日の子どもの日常生活の変化が大きく、特に遊びの内容、集団の変化が著しく、さらに生活体験や体験と関連をもつ言語認識をかなりの乏しさとして目立った。(2)地区別では、東京地区が一般的には生活環境が乏しく生活・遊びも乏しいと思われがちであるが、福岡地区や庄内地区の方が日常生活の実態、さらには生活体験や体験をとうした言語認識についても乏しく、生活環境への意欲的な働きかけの不足親の教育関心への低さが要因と考えられる結果となった。 本研究での生活体験と生活環境との関連では「豊かさ」の反映としての日常生活を乏しさの反面、自然環境や社会環境との関係では、その周囲の実態によることよりも日常的な子どもの意欲的な関心や働きかけをどのようにつくり出すかが問われている調査結果となったといえよう。
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