本研究の目的は、現代フランスの中等学校における進路指導制度とその改革動向に注目し、進路決定の過程と手続きの中で、各学校・各学級に設置されている学級委員会の果たす意義と役割を分析することにあった。 1.学級委員会は、校長主宰の下で年3回開催され、関係教員、生徒指導および進路指導専門員のほか、選挙で選ばれた父母の代表および生徒代表などで構成され、進学あるいは進級における重要な協議機関として位置づけられている。このような進路指導に関する専門職の配置、および生徒本人および家族と学校側との協議・話し合いの機会の保障の仕組みが整備されているとはいえ、なおも個別には関係者間の意思疎通の不十分さ、あるいは情報提供の不足などによって不一致が発生し、いくつかの軋轢あるいは争訟も生まれていることは否定できない。 2.本研究遂行の途中において、これまで20年以上にわたって定着してきた前期中等教育制度上の重要な変更がおこなわれた(1995年7月13日付法律第95-836号)。中学校(コレージュ)の最初の2年間を観察課程、後半2年間を指導課程としていた従来の制度が、1年目を学習の基本を徹底させる「観察・適応課程」に、中間の2年間を「深化課程」、そして最終の第4学年を「指導課程」として後期中等教育への進学準備のための時期とし、それぞれの役割を効果的に果たせることを目的として変革されたのである(2-2制から1-2-1制へ)。このことはある意味で中等教育制度、とりわけて青年期の能力・特性などの分化と、基礎的知識・理解の上に位置づく中等学校制度の整備、およびその中での適切な進路指導制度の確立の困難さを示すものと考えられる。
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