1 本研究は、平成5・6年度科研費研究成果報告書『明治期における不敬事件の研究-111事例の概要と文献および明治期不敬事件史試論-』(平成7年3月、研究代表者小股憲明)の後を承けて、明治期の未知の不敬事件の発掘、および個々の事件の事実関係の調査研究を行ったものである。その結果、新たに81件の事例を加えて、報告書掲載の明治期不敬事件の事例はつごう192件に達した。 2 本報告書は、上記の成果を踏まえて、第1章「増補 明治期における不敬事件の事例概要と文献」、および第2章「補訂 明治期不敬事件史試論」から構成されている。 3 第1章では、192件の不敬事件について、その事例概要と参考文献を掲げた。 4 第2章では、第1章の事例概要をもとに作成した「明治期不敬事件一覧表」を用いて、明治期の不敬事件全体について、さまざまな角度からの分析を行った。その際、発生した不敬事件の特徴に着目して、明治期を次の4期に時期区分した。 (1) 民権運動弾圧期:明治初年から明治22年2月帝国憲法発布まで。 (2) 教育と宗教の衝突期:帝国憲法発布から明治28年4月日清戦争終結まで。 (3) 忠君と偽忠君の攻防期:日清戦争後から明治40年まで。 (4) 社会主義弾圧期:明治40年11月から明治末年まで。 5 帝国統計年鑑を利用して、明治期中に、「皇室に対する罪」(刑法不敬罪該当)によって起訴されたものの判決結果などの一覧表を作成して、第2章に付した。
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