平成7年度は、米国の教育援助の基礎文献を収集し、歴史的把握に努めること、及び、コロンビアとジャマイカに関して資料収集と分析を行うことを目的としている。この追究の過程で、米国に本拠を置き、戦後の発展途上国への教育開発援助の最大のドナーとなってきた世界銀行のこの分野における活動を把握することが、米国の教育援助を知る上で不可欠であることがますます明らかとなった。 この点に基づき、本年は、世界銀行の教育援助活動に関して資料を収集することに努めた。その結果、世界銀行の1960年代以降のジャマイカの全教育援助プロジェクトの一次資料を入手した他、世界銀行の教育援助全体に関する政策ペ-パ-や教育分野での刊行物、プロジェクトの名称などを入手、またはその所在を知ることができた。これら資料の整理分析が本研究の今後にとって非常に重要な基礎となると考えている。なぜならば、1960年代以降の途上国の教育開発はユネスコに加えて、豊富な資金力を誇る世界銀行が大きな発言力を持ち主流となってきたプロセスでもあること、また、世界銀行からの援助には、米国のUSAIDなどが技術援助を行うなど側面支援する形で進んできた事例も見られること、などの点から、世界銀行の教育援助の歴史的把握には大きな意味があると考えられるからである。 なお、コロンビアについては、第二次資料が中心となっているため、一層の資料の収集に努めたい。
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