本研究の第1目的である「授業に関する省察と教師の成長の文献研究」に関しては、近年の省察研究の動向をまとめ、「教育学年報第5巻」に発表した。また省察に関して、この発表論文よりもさらに、考えを深め、省察の内容枠組み、修辞枠組み、主体枠組みからなる筆者なりのモデルをまとめ、「児童心理」で、現在印刷中である。本論文では十分に書ききれなかった部分をさらに深め、別論文として執筆を計画中である。また教師の成長モデルに関しては、新任期、初任期、中年期、熟練期各段階の特徴と発達課題を同じく、「児童心理」(印刷中)の3回の連載論文にまとめて発表した。本論文では省察主体として主に個人の教師が論じられているため、集団としての省察の必要性を論じた論文を「教育と医学」にその案を発表した。さらにこの点については来年度検討する予定である。 また第2の目的である「省察過程に関する研究」に関しては昨年度収録したデータに関しては論文として執筆発表する準備段階にあり、またさらに1単元を通して一人の教師の省察過程を追うデータを収録し、そちらは現在整理中である。また実証データの一部に関しては日本心理学会の「熟達化研究の現在とこれから」というシンポジウムにおいて話題提供者としてその一部を公開発表した。 以上のようにおおむね順調に研究は進められており、来年度には本年度までの実証研究を論文化し、まとめていく予定である。
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