研究課題/領域番号 |
07610283
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
村田 徹也 愛知大学, 文学部, 教授 (90271379)
|
研究分担者 |
太田 明 愛知大学, 教養部, 助教授 (30261001)
長田 勇 愛知大学, 文学部, 助教授 (60221157)
渡辺 正 愛知大学, 文学部, 教授 (10113333)
安井 俊夫 愛知大学, 教養部, 教授 (50267879)
小川 利夫 愛知大学, 法学部, 教授 (00022400)
|
キーワード | 教育裁判 / 教育の社会化 / いじめ / 教育情報公開 / 子どもの権利条約 / パタ-ナリズム |
研究概要 |
(1)本年度の研究上生じた重要な問題は、教育判例としてどの範囲を含めて考えるか、またそれをどのように入手しうるかである. 会議報告(別紙)でも触れたように、近年の「いじめ自殺事件」(西尾市)や「マット死亡事件」(山形)では、加害者生徒は家庭裁判所の少年審判に付された. 従来の教育判例では、裁判所レベルでの判例に限定されるきらいがあり、裁判にまで踏み込んだ研究は、福祉司法以外には数少ない.しかし、近年のいじめ事件のように被害者も加害者も生徒であるという状況では、当然、審判にまで踏み込んだ検討が必要になる.その点では「教育判例」の範囲をかなり拡大して考える必要がでてくる. また、この場合、教育問題としての「いじめ」の解明には、当事者の加害生徒・教師・家族たちの供述・証言が不可欠であるが、少年審判は非公開であるために、その資料を入手することができない.担当弁護士などから事情を聴取することはできるが、その利用(公開)には大きな問題が含まれる.そのための資料収集をどう行い、どう公開してゆくかが教育判例研究の新たな課題になる. (2)また、こうした点を含めてみると、戦後の教育判例研究がかなり変化している点が確認された. 戦後の教育判例研究は、戦後初期の行政法的教育裁判(兼子仁氏らの言葉では「自主性擁護的教育裁判)」から、「条件整備的教育裁判)を経て、「教育是正的教育裁判」へと変化してきた. しかし最近の教育判例は、単にその延長上に位置するものではなく、「教育」そのものを問い直すという性格を強めている.小川利夫氏の言う「教育の社会化的」教育裁判へのシフトである.そこでは、単に自明な「教育」が前提されるのではなく、むしろその前提が法廷でも争われる.その意味で極めて「教育本質論」的様相を帯びている.従って、従来の「裁判官の教育観」のみならず、教育裁判と教育本質論がどのように関連しあいながら深化してきたのかを明らかにする必要がでてきたといえる.
|