研究概要 |
いわゆる公立学校が,管理機関である教育委員会の統制から離脱し,自主管理学校に移行することを認める「オプティング・アウト」政策について,その導入以後の実施過程で実際に生起している具体的諸問題を検討し,各地方および個々の学校レベルでの「オプティング・アウト」の成否を規定する諸条件を解明するために,次の2つの課題に関連する資料の収集と分析が行われた。 (1)1988年の導入以来の,中央政府の「オプティング・アウト」推進策をめぐる教育関係団体および地方教育行政当局の対応。 (2)「オプティング・アウト」の推進のために1993年教育法によって新たに導入された「財政措置機構(FAS)」及び「共通予算配分方式(CFF)」の地方教育行政に及ぼす影響。 現時点までに,以下の知見が得られている。(a)「オプティング・アウト」の動因は特定の政治的・教育的見地に基づくものではなく,行政の平準化傾向に対する個性化志向の個別的実践に基づくものであること。(b)中央政府のインテンシヴの弱化により,個性化志向の個別的実践の財政的基盤が欠われつつあり,「オプティング・アウト」の急激な拡大は見込めないこと。
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