「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」に基づき、各府県において展開されている生涯学習振興の施策の実態とその推進の行政の特性について、歴史的かつ地域的特性などとの関連において追究してきた。本年度は主として、秋田・千葉・京都・広島・大分・宮崎の各府県及び国立社会教育研修所などにおいて研究資料の調査収集を行った。生涯学習行政は、その対象領域が広範囲にわたり、したがって生涯学習の振興は基本的には総合行政としての性格をもっている。このため教育委員会が管轄している範囲をかなり超え、したがって推進行政には新しく予算が相当に必要となることもあって、教育委員会が単独に主体的に生涯学習振興にかかわる行政を推進することには限界がある。 そのような生涯学習行政の特質から、その振興を図る上で、知事のリーダシップがきわめて重要であり、このこととも関連して、府県の総合計画に生涯学習の振興が、いかに位置づけられ、そして具体的にどのように構成されているが、当該府県の生涯学習推進の行政のあり方を根本的に規定している.と考えられる。 以上のように生涯学習の振興が知事のリーダーシップのもとで、総合行政として取り組まれる必要もあるため、昭和56年の中央教育審議会答申「生涯教育について」などによる国・文部省のその振興の基本方針が明示が府県の取り組みにとくに重要な意義をもっている。なお、更に資料分析をすすめることにより、来年度の各府県市町村の生涯学習振興の実態とその推進行政の課題についての調査研究の基盤を構築することを、現在、めざしている。
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