「生涯学習振興法」に基づき、各府県および市町村で展開されている生涯学習振興の実態とその推進行政の課題について、その地域特性などとの関連において考察した。本年度は、とくに、秋田県と4市町、千葉県と4市町、静岡県と3市町、宮崎県と4市町に重点をおいて、研究資料・情報の調査収集を行った。本研究の成果を、今後の研究課題という観点から、生涯学習推進の行政課題について整理すると、とくに次の5点が指摘できよう。 1)国の審議会答申や各省庁の関連事業への補助金が、府県でのその施策の展開に大きな効果をもっているが、これまでの社会教育等への取り組みの成果を反映させた施策も展開されつつあり、それを更に発展させる条件を考究する必要がある。 2)府県のみでなく市町村でも、その首長の生涯学習についての理解とそれの振興へのリーダーシップが、生涯学習振興の施策の取り上げ方に大きくかかわっており、重要なポイントになっている。 3)府県の生涯学習の基盤整備の程度とそれへの熱意も、市町村の取り組みに大きく関係しており、今後、市町村でのその振興施策の成果の定着を図る方策について検討する必要がある。 4)地域住民の学習ニーズの多様化、高度化に対応して、市町村域をこえた広域的な関連事業の計画的展開が必要である。そのための方策を検討する必要がある。 5)生涯学習へのきっかけを十分につかみ得ていない人々への対応策を、とくに社会教育のあり方や、それへの府県の支援の方法などについて、具体的に考案されるべきである。
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