1.音声の収録:今年度は、先ず聴覚障害学生60名について下記の音声サンプルを収録した。 (1)単音節:日本語音節100音を音読した場合の音声 (2)単語:試験的に作成した音読用単語リストの単語、40語を音読した際の音声 (3)文章:簡単な内容の文章で構成される日常生活文リストを音読した場合の音声 (4)発話:「私の趣味」というテーマで語られた、50秒から2分の自然な発話場面における音声 2.音声の評価:収録された上記の音声を健聴者10名に提示し、書き取り及び評定を求めた。 3.新たに得られた知見:結果の詳細な分析は平成8年度以降に予定しているため、データに基づく具体的な知見は得られていないが、音声収録及び評価の過程で次の点が示唆された。 (1)単音節リストの音読に際して、一部の被験者は各音を提示する時間間隔が長すぎると、不自然な発音になることがある。特に拗音に関してこの傾向が強い。 (2)検査の順序を単音節→単語→文章の順で行った場合、一部の被験者について単語、文章を音読する際に、不自然に音節を区切って発音する傾向が強くなる。この発音は、明らかに発話場面のものとは異なる。 (3)聴取者間の書き取り及び評定の個人差は、提示される音声が不明瞭であるほど大きい。 (4)単音節検査であっても、聴取者間の個人差は少なからず存在する。 (5)試作した単語リストは、連音中のターゲット音の発音明瞭度を評価するために有効である。
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