1 実施研究は、4つに区分される。第一は、工業科教員の採用に関わる研究である。全国的動向としては、高校生徒数の減少に伴って、工業科教員の採用数も減少しており、他教科同様の傾向を示している。一方、工業科の教員免許取得者数は、ほぼ横這いであり、採用数からみて教員免許取得者数が絶対的に不足しているとはいえない。しかしながら、工業科教員には、過員相殺の欠員以外に未だに欠員が生じており、質・量ともに工業科教員の採用確保が困難な都道府県が存在する。欠員の存在は、地域的な要因、希少学科等学科の性格などによっても左右される。さらに、工業科教員採用の特徴は、大学新規卒業者の割合が約三分の一ときわめて低いことにある。他は、社会人からの転職と実習助手等からの任用替えにより賄われている。都道府県ごとの工業科教員採用確保の政策は、結果としてこれらの異なった教員供給源に対して個々様々にとられており、その故に対症療法的にならざるをえない側面もあり、教員不足或いは教員の質の確保に成功しているとは必ずしもいえない。 2 第二は、課程認定を受けた大学を対象とする工業科教員養成に関する研究である。工業科教員の養成は、大別して、工学部と教員養成系学部の中学校技術科の教員養成を兼ねたものに分かれる。養成のカリキュラムおよび学生の動向を含めて調査中である。 3 第三は、工業高等学校を対象とする工業科教員の研修に関する研究であり、平成8年度に予定している。 4 第四は、諸外国における技術教育・産業教育の教員制度に関する比較研究である。本年度は、文献収集の段階であるが、技術教育・産業教育の全体的システムの比較から入り、教員制度の各論に入るべく考察を進めている。
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