本調査研究では、西アフリカにおけるヨルバ、ベニン、アカン語群(特に、アシャンティ)の諸王国を主要な対象地域として、イスラーム文化とヨーロッパ文化との接触によって形成された諸文化複合を王権の標章に関する比較研究を行った。特に、西アフリカの王権の標章にみられる「象」「豹」「鯰」「鶏」「羚羊」「蜘蛛」「獅子」「鰐」「蛇」「蛙」「熱帯植物」(特に、ヤシ)をとりあげることによって、王の名称を指示するもの、王や民衆の隠喩となるもの、色彩とシンボリズム、性差や身分標識を指示するもの、動物と植物の民俗分類と寓意的表現(あるいはその神話的世界との関係)、文字の神秘性(絵文字や呪文)などの王権、図像、歴史表象に関する比較検討を行うことで、西アフリカにおける諸王国の基層文化を明らかにした。 また、本調査研究では、西アフリカの諸王国における王権の標章に関して、HRAFが開発した『文化項目分類』(Outline of Cultural Materials)及び『地域・民族分類』(Outline of World Cultures)に従って関係資料の図版を作成するとともに、関係資料のデータベース化を行った。
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