日本における在日朝鮮・韓国人の多住地域のうち東京都荒川区、京都東九条、大阪市生野区、そして福岡市の4ヵ所で韓国・朝鮮人および日本人の民族イメージの形成に関する調査を行ってきた。具体的には、生活史の収集、アンケート調査、そしてマスメデイア、特に新聞記事の分析を実施してきた。資料の収集、およびそれらの分析と考察はいまだ継続中である。また、調査地を4ヶ所にしたが、京都市と福岡市に重点が偏り、次年度は2ヵ所に集中するかどうか検討中である。在日朝鮮・韓国人の場合、1、2世と3世のあいだにとくにイメージ形成に関して大きなギャップがあり、1、2世の間にはそれほど大きな違いはないように見受けられる。とくに、2世は微妙な立場にあることがはっきりしている。日本人の間での在日朝鮮・韓国人のイメージについて大学生に対してアンケートを実施したが、多様な要因がイメージの形成に関与していることが分かった。とくに、学校教育、マスメデイア(テレビや新聞)、そして親や周辺の「教育」がその中でも重要な要因と考えられる。また、新聞記事(とくに、1945年以降の京都新聞)を見ても、在日朝鮮・韓国人の記事は、その書き方を含めていくつかの時期区分ができるように考えられる。上述のように、資料の収集・分析・考察は継続中であり、日本人と在日朝鮮・韓国人の双方から見た互いのイメージの形成に関する総合的な分析・考察を次年度にまとめたいと考えている。
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