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1996 年度 研究成果報告書概要

北東アジア地域におけるアイヌ民族の小型も皮獣猟の歴史的位置づけに関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 07610322
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 文化人類学(含民族学・民俗学)
研究機関北海道開拓記念館

研究代表者

出利葉 浩司  北海道開拓記念館, 事業部, 学芸員 (40142088)

研究期間 (年度) 1995 – 1996
キーワードアイヌ / 狩猟民 / 交易 / 罠 / 仕掛け弓 / 毛皮 / 場所請負制
研究概要

この研究は,これまで十分に研究されてきたとはいいがたいアイヌ民族の小型毛皮獣狩猟活動について,時期を近世末期に絞り,その状況の描写を試みた。その結果、少なくとも18・19世紀の蝦夷地におけるアイヌの狩猟活動は,基本的食糧の一つであったシカ猟のほかは,交易商品としてのテンやキツネ,カワウソなど小型毛皮獣狩猟が中心であったことも明らかにすることができた。また,当時蝦夷地は松前藩領(一時幕府直轄領)であり,場所請負制のもとに,商人が割り当てられた各場所においてアイヌの人々を労働力として雇い,漁場労働に従事させていた時代であったが,一方,松前藩としても,大陸や本州方面との交易品を確保する必要から「軽物」と称する品物,たとえばワシ・タカの羽,昆布それに小型獣の毛皮などを,各場所の商人を通して一部のアイヌの人々に取らせ,提出を求めていた。この先行研究を踏まえ,かかる小型獣狩猟活動は,アイヌが自発的におこなった活動というよりむしろ,「強制」された狩猟であったと位置づけた。さらに,アイヌの小型獣狩猟具を分析し,小型毛皮獣(キツネ,テンなど)の狩猟具とくに罠に注目し,その類型化をおこなった。それと北東アジア諸民族の罠とを比較した結果,北東アジア地域自体,きわめて罠猟が発達した地域であること,地域によって特徴もみられる反面,「仕掛け弓」や「弾弓」と呼ばれるものに関しては,民族を越えて類似していることがわかった。この類似について,単なる伝播ととらえるのではなく,とくに松前藩が小型獣の毛皮を求めた背景には当時大陸において展開した清朝や帝政ロシアの毛皮需要があったという筆者らの先行研究を援用して解釈した。すなわち,アイヌを含む北東アジア地域諸民族間の罠の類似は,同地域に展開した小型獣の毛皮の需要が潜在的な下敷きになり,その構造体の上に拡がっていった結果であると考え,歴史的必然性において説明できるとした。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 出利葉浩司(共著): "北の生活文庫2 北海道の自然と暮らし" 北海道, 242 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] DERIHA,Koji(共著): "Art and Life of the Ainu-The Aboriginal People of Northern Japan-" The Provincial Museum of Alberta, 48 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] DERIHA,Koji, Ainu Culture : Hnting, Trade and Religion: "Art and Life of the Aiun" (Edited by Philip H.R.Stepney). The Provincial Museum of Alberta, 17-22 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] DERIHA,Koji: "Workman and Handicraft in Hokkaido" The Library of the North 3, (Edied by Hideshi Seki). Hokkaido Government, 145-461 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] DERIHA,Koji: "Human Life and the Environment in Hokkaido" The Library of the North2, (Edited by Satoshi Yajima).Hokkaido Government, 66-156 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-09  

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